吉本です。 吉本 要


1957
東村川田生まれ

やんばる自然塾・非常勤スタッフの吉本です。日頃は、農業を生業にしておりますが、自然体験や農業体験が盛んになってきた為に、ガイドとして参加させていただいてます。自然体験の農業も自然が相手の仕事なので農業の側から身の回りで体験したこと、又は感じたことをドゥチュイムニィー(独り言)します。
畑の風景」(2007・09・01)
パイン 農家の宿敵

 8月の暑き季節と共に、日本一のパイン生産量を誇るヤンバル東村は収穫期に入り畑作業がより忙しくなってきた。収穫の忙しさと共にこれより収穫作業が終了する3月頃まで、収穫以外の悩ましさも始まる。強烈な夏の日差し、台風銀座と形容される台風の襲来、パインを食害する害獣(カラス・イノシシ・ネズミ)等。そんな悩ましさの中でも特に苦労するのがカラスによる食害である。その食害の酷さにパイン栽培をあきらめ他の作物へ転換する農家も出るほど。カラス問題は都会でも多く聞くがパイン農家にとって約2〜3年かけて育ててきたパイン収穫は畑までやって来た時、畑の殆どを食い荒らされた状況を目の前にするとこみ上げる怒りとヤル気が失せる複雑な心境に気持ちを立ち直らせるのに多少の時間がかかる。しかし農家も黙って食害されるのを見ている訳でもなく対策を講じる。その代表的な対策やカラスの学習能力の高さ(頭の良さ)を紹介してみたい。
捕獲器の設置

 この方法はカラスの縄張り意識の強さを利用する。他の地域で捕らえた(なるべく離れた所)カラスを入れておくと地元のカラスがやってきてケンカを仕掛けるため捕らえることが出来る。しかしこの方法においてはと捕らえたカラスに餌を与える事が大変な作業だ。一羽二羽ならよいが何十羽ともなるとカラスの食欲を満たす餌の確保が難しく餌がなくなると共食いを始めてします。
捕獲器
パインの上に銀紙 光の反射・鉄砲音の効果

 近年、畑において風物詩になっている光が反射する銀紙・CD盤・鏡等を畑の廻りに吊るし上げるとカラスが光るものに対して警戒する習性を利用する。しかし、カラスが学習して危険が無いと分かると効果が長く続かない。従来の鉄砲音による駆除はオーソドックスなやり方だがここでもカラスの学習能力の高さが発揮される。カラスは猟師の移動する自動車や服装までも覚えることにより近づいてくると鉄砲の弾が届かない所まで逃げて仲間に知らせる泣き声をあげる。その泣き声が「アホーアホー」とまるで猟師にとってはからかわれているように聞こえてくる。
農家の苦労

 上記の代表的な対処の例をあげながらカラスの学習能力の高さを紹介してみましたが最後に農家が一番不思議に思い困っていることがあります。それはパイン農家にとって害獣のカラスが保護鳥に指定され狩猟する時期・期間・数が決められている為にヤンバルのように自然が残るカラスの棲家のある山々が多く残っている地域では無数のカラスが朝早く巣からでて日没に変える保護鳥だという事で制限を受ける事により対策も‘焼け石に水’の状態である。その為農家はカラスの行動にあわせ夜明けと共に畑に出て日暮れてカラスが帰った後に家路に着く都会のサラリーマンと同じ自然相手の長時間労働者なのだ。
パインネット